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壊れ難いライニング

どんな防蝕仕様が“長持ち”するのか?

   生きるためには無数のことが必要ですが、死ぬ原因は一つあれば十分です
 
              生きるためには、どんな死因も作ってはいけません。
だから、真に大事な事は、“体に良い事をする”ではなく“体に悪い事はしない”です。
 
長生きした人は、筋力が強かったから、心臓が強かったから、胃が丈夫だったから、血管が柔軟だったから、頭を使っていたから、毎日野菜を食べていたから、のんびり暮らしていたから、歯が強かったから、等といった理由で長生き出来たのではアリマセン
死因が無かったから、長生き出来たのです。
だからこそ、医者は(良いところには目もくれず)必死で悪い所を探し、機械メーカーも、良い部分には目もくれず、故障した箇所を徹底的に調べて、そこを改善しようとします。
 
被覆防蝕でも、全く同じです。長生きさせる要点は、設計から施工、引渡しまでの如何なる過程でも、死因を作らないという事です。

防食設計というのは、施工環境や使用環境を勘案して、あらゆる材料と工法の弱点、欠点、アラ捜しを徹底的にやり、経済的かつ一番死因が出来にくい材料や方法を考えたり選んだりする仕事です。
その仕事に必要なのは、いろいろな材料や膜構造や工法等の欠点とトラブルの実務知識です。
いくら集めても、長所の知識だけでは、死因を作らない設計は出来ないのです。
 
(食物や薬や健康法のプラスの効果の知識ばかりいくら知っていても、その副作用病気に関する知識が無かったら、医者や薬剤師の仕事が務まらないのと同じです。)
 
(注意すべき事が一つ・・防蝕仕様の欠点とは、“その状況における欠点”の事です。
例えば軟質とか破断伸び率が大きいとかいった物性は、耐クラック性や衝撃吸収性が求められる状況では“長所”ですが、摩耗性環境や溶剤に浸かる状況では“欠点”になります。
低温硬化性が良い樹脂は、寒い場所での施工に適しますが、その長所が、高温では硬化が早すぎる、という欠点になります。
つまり・・・防蝕材料や仕様の長所や欠点は、状況に応じて変わります
しばしばカタログや資料等に、「××の物性が良いと長持ちする。」といった類の実験データが載っていますが、実際は、必ずしもそうなりません。 こういう断定的な実験データは、一見科学的でもっともらしく見えますが、××だけが寿命を左右するような条件設定で実験すれば、“××が寿命を左右する”というデータが出るのは当たり前のことです。
   例えば、“飢え死にさせる” 実験をすれば、“太っているほうが長生きする” という科学的実験データが得られます。
そんなデータを根拠にして“長生きしたいならトドみたいに太れ!”と一般人や糖尿病の患者に言う藪医者は多分いないでしょうが・・そういうレベルの防蝕関係者は、以下省略・・)
 
    ・・・それはともかく・・どういう項目のアラ捜しをするのか?

このホームページで、何度も繰り返していますが、防蝕ライニングが、健全である為には、膜材料の耐蝕性が仕様条件を満たしていることも、防蝕性(環境遮断性)が必要レベルであることも、膜欠陥がないことも、接着安定性が良いことも、施工法や仕様が、施工環境に適合していることも全部不可欠です
 
そして、どの要素であれ、それを別の要素でカバーすることはできません。
例えば、耐蝕性不足を接着でカバーしたり、膜欠陥を耐蝕性でカバーしたりは出来ません。
だから、これら全ての要素それぞれについて、施工環境、使用環境を勘案して、“死因を生まないかどうか”の、アラ捜しチェックをしないといけません。
全項目についてです。
それが、長寿命のライニングを作るための、設計の要点です。

・・ところで、大抵の場合・・
   ライニングの耐食性と遮断性と接着安定性を損ねる原因の大半は、施工時に出来ます。

だから、施工管理は特に重要です
常に、現実の状況に合わせた注意深い施工が必要です。
だから、もし、現場状況が設計で想定したものと異なっており
“仕様通りに施工すると、死因を作る可能性がある”・・と、判断したら、計画を変更しないといけません。
(胃を切るつもりで腹を開けたら、悪いのは腸だった・・そういう類の問題です・・そのとき・・決めた事だから・・と・・計画通りに、胃を切ってしまうのは暴挙です。)
 
こういう事態は、改修工事では常に生じます。その時は、臨機応変変更をしないと、トラブルを招きます。役所関係の防蝕改修工事が異常な頻度で失敗しているようですが、その原因は(業者の技術力の問題もあるでしょうが)組織と頭の硬直性にあるのかもしれません。
   最終的に被害を受けるのは(役所の背後の)納税者だ、という事を、もっと真剣に考えてもらいたいものです。
 
   現実問題として、現場での計画変更には、発注者側の素早い理解と対応が必要なのですが・・
技術内容に無知な仲介者(中間ピンハネ業者)が間に入った場合は、仕様変更を、“ごまかし”や“”と、捉えてしまう傾向があって変更が困難です。 或いは、担当者が裁量権を持たされていない場合は事実上変更不能です。
だからメンテナンスの場合は、そんなゴタゴタを避けるために、前もって関係者間でそういう事もあり得るという合意をしておく必要があります。
なお、こういう場合、(想定出来るような事象でないからこそ“想定外”なのに、)ケース1、ケース2、ケース3・・と考え得るあらゆるケースを想定して、それぞれに対応した施工計画と仕様書と見積書を作るべきだ・・などという人がいますが、これは工事の度に百科事典を書けと言っているような、ナンセンスな要求です。(作るのには膨大なエネルギーが要りますから、どうしても、と言うなら、著作料を払うべきでしょう。)
 
日常管理も寿命要因の一つです
不測の破損事故を起こさないためには、使う側は、そのライニングに対し、してはいけないことを理解し、守る必要があります。
 
(失敗例)遥か昔、塩酸ヤードを耐酸タイルとケイ酸カリ系耐酸セメントを使って防蝕し、一ヶ月も経たずにボロボロに壊れたことがあります。
・・・調査の結果・・・
客側の作業員が、毎日、苛性ソーダを撒いて、洗っていた!(^^;)事が判明
(上記耐酸セメントは、アルカリにはイチコロで溶けます。)

   以上説明した事柄を、キチンと行えば、防蝕は、イヤでも長持ちします
 
(その確率が高くなります。)
(もしライニングが、すぐ壊れたとすれば、ここに述べた項目のどれかに、問題点があったということですから、改修するときは、それを突き止めて、やり方を修正して下さい。でないと、同じ過ちを繰り返すことになります。)
 
 
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