コンクリートの漏水場所
コンクリート屋根やベランダは何処から漏水するのか?
普通の感覚で言えば、コンクリートは不透水性です。
【にも関らず、何処からどんな理由で漏水するのか?】
(とりあえず、ポタポタと水が漏れる箇所を漏水点ということにします。)
漏水点は
●施工時に出来る接合部と欠陥部です。
●施工後に生じるクラック部です。
●施工後、腐蝕すると、全体が透水化します。
●施工時に出来る接合部と欠陥部です。
●施工後に生じるクラック部です。
●施工後、腐蝕すると、全体が透水化します。
それ以外には?・・ありません。
(だから、そこさえキチンと封止すれば、漏水しません。)
1、接合部は 建設の過程で、必ず出来ます
コンクリート屋根の作り方としては型枠を組んでコンクリートを流し込む方法と、工場でプレキャストしたコンクリート板を並べ置く方法がありますが、流し込みの場合、周辺とはコールドジョイント(用語参照)になり、これが漏水点になります。
排水管等との接合面も接着剤で隙間なく接着させない限り、漏水点になりす。
↓貫通孔と差込部材の接合界面 (窓枠等との接合界面も同じです。)
コールドジョイント↓
プレキャスト板を並べる場合は全ての合わせ目が漏水点です。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
2、コンクリートを打設するときには、 施工欠陥 が出来ます。
建築設計の建前としては漏水点は上記1だけですが、現実のコンクリートは施工時にジャンカやクラック等の欠陥が出来ることが多く、それらも漏水点になります。“ジャンカ”というのは打設時のエア抜き(つまりバイブレーション)が不完全で、コンクリートがキチンと充填されていない部分の事です。
ジャンカは、現場では大抵、適当にモルタルを詰め込んで修理されます。
(その接合部は当然コールドジョイントですから、通水路になったり剥落したりします。)
ジャンカは、現場では大抵、適当にモルタルを詰め込んで修理されます。
(その接合部は当然コールドジョイントですから、通水路になったり剥落したりします。)
3、施工後の腐蝕で発生する漏水点
【腐蝕によるセメントモルタルの吸水透水化の実例】
左の写真の現場では、FRP防水を行ってとりあえず漏水は止まったのですが、大きな台風の二日後、漏水が発生しました。
そこで、パラペット部(写真のカベ状の部分)に接着プライマーとして、湿気硬化型ウレタン塗料を含浸させ、その上からフレキシブルポリエステルパテで塗りつぶしてみました。
それ以降大雨でも漏水は発 生していません。
そこで、パラペット部(写真のカベ状の部分)に接着プライマーとして、湿気硬化型ウレタン塗料を含浸させ、その上からフレキシブルポリエステルパテで塗りつぶしてみました。
それ以降大雨でも漏水は発 生していません。
この例では、パラペット部(写真のカベ状の部分)の防水モルタルが(長年の大気腐蝕によって)透水化し、そこに浸入した水が、床面の“仕上げモルタル”の下(本項目の“かくれルース仕様”参照)を伝って二日かかって漏水点に達した、と推定されます。
(そんな場合は、この例の様に、モルタルの表層を封止すれば、浸透しなくなります。)
4、施工後の地盤沈下、地震、熱膨張等で出来る漏水点(クラック)
こういった不測の大きな力が、コンクリートを割る事があります。
或いはまた、建築では、長大な構造物に不測のクラックが入るのを防ぐため、わざと強度が低い箇所を作っておき、そこにクラックを誘発させるという(苦し紛れ?の)テクニックも使われています。(誘発目地と言うそうです)
不測であろうと計画的であろうと、(施工後に)クラックが発生することは同じです。
或いはまた、建築では、長大な構造物に不測のクラックが入るのを防ぐため、わざと強度が低い箇所を作っておき、そこにクラックを誘発させるという(苦し紛れ?の)テクニックも使われています。(誘発目地と言うそうです)
不測であろうと計画的であろうと、(施工後に)クラックが発生することは同じです。
このように漏水点といっても、
1のように設計上、施工時に必ず出来ると分っているもの
2のように施工時の不測の事故で出来てしまうもの
3のように将来腐蝕で出来ると予測されるもの
4のように将来不測の事故で出来てしまうもの
があり、それによって 対処の考え方と防水法が変わります。
1のような工法上不可避の漏水点の止水は当然、必要不可欠です。
2に関しては、予定外ではあっても、現実に出来ている以上、止水は不可欠です。
3に関しては、当面は不要ですが、何れ必ず問題になりますから、施設を延命させ たいなら、防蝕措置が必要です。
4のように不確定なものに対しては、クラック対応型の防水をしておく・・か、出来たら出来たで、そのとき修理する・・か、二つの対処方法があります。
どちらを選ぶかは、万一(クラックが生じて)漏水した場合の 被害程度の予測、修理の難易 度を勘案して決めます。
(コストがからみますので、)選択は、人それぞれの好みです。
2に関しては、予定外ではあっても、現実に出来ている以上、止水は不可欠です。
3に関しては、当面は不要ですが、何れ必ず問題になりますから、施設を延命させ たいなら、防蝕措置が必要です。
4のように不確定なものに対しては、クラック対応型の防水をしておく・・か、出来たら出来たで、そのとき修理する・・か、二つの対処方法があります。
どちらを選ぶかは、万一(クラックが生じて)漏水した場合の 被害程度の予測、修理の難易 度を勘案して決めます。
(コストがからみますので、)選択は、人それぞれの好みです。
(全面施工のやり方と材料 部分施工のやり方と材料 参照)
纏めますと、きちんと施工された構造物であれば、1の漏水点(つまり、コールドジョイント部や貫通孔部や継合せ部)だけシールすれば、とりあえず漏水はしませんが、しばしば、2の漏水点も出来てしまうので、丁寧に探して、そこを修理すれば(漏水点を見落とすリスクがありますが・・・)止水出来ます。今のことだけ考えるなら、これで十分です。しかし、コンクリートは将来、腐蝕によって透水化します。これは全面に(防水を兼ねた)防蝕措置をしておけば防げます。
(最もシンプルな塗布防水仕様 参照)
将来、(不測の事故で、)屋根コンクリートにクラックが入る可能性があります。
それに対処するには、二通りの考え方があります。
1、「クラックが出来ても漏水しないようにしておく。」 ・・・当然相応のコストが掛かります。
漏水の被害や修理コストが非常に大きいと予想される場合には、多少のコストアップを我 慢して、(保険の意味で、)これを選んだ方が有利です。
それに対処するには、二通りの考え方があります。
1、「クラックが出来ても漏水しないようにしておく。」 ・・・当然相応のコストが掛かります。
漏水の被害や修理コストが非常に大きいと予想される場合には、多少のコストアップを我 慢して、(保険の意味で、)これを選んだ方が有利です。
2、「その時はその時で、修理すれば良い。」
(クラック発生の可能性は、大抵極めて低いので、)予想被害や修理コストが小さい場合は予防措置を講じるより、この方が有利です。
(クラック発生の可能性は、大抵極めて低いので、)予想被害や修理コストが小さい場合は予防措置を講じるより、この方が有利です。