劣化した湿潤コンクリートへのライニング
1、先ず、ケレン(クリーニング)をする
腐蝕したコンクリートは、“内部深くまで” 劣化が進んでいますので、ライニングに先立って“弱境界層” である劣化部を除去します。
コンクリートの弱境界層は、強度ゼロの表面から、内部深くの健全部まで 連続しており、錆と鉄素地の関係の様な、はっきりした境界がありません。
それで、“どこまで除去すればよいのか”、という問題が生じます。
【どこまで除去すればよいのか】
しかし、現実問題として、“強度を計りながら除去することはできません”。
“高圧洗浄機で”、簡単に落ちるほど劣化したものは、“全部除去する” というのが、唯一、現実的なやり方でしょう。
圧力をどのくらいにするか、水量をどのくらいにするか、ノズルをどのくらいまで近づけるか、といった問題は、ケースバイケースで決めます。
(ただし、決めても、それが守られたかどうかは、調べようがありませんが・・・)
(ただし、決めても、それが守られたかどうかは、調べようがありませんが・・・)
ちなみに、私たちは、MAX200kgfの圧力のボイラー付き熱水型を愛用し、ノズルを0~10cmに近づけて、これで落ちてこないものは、OKとしています。
2、乾燥させる
その後、送風やトーチで、できるだけ乾かして、次の工程に移ります。
(例え、湿潤面施工であっても、可能なら可及的に乾かす事が施工の基本です。)
3、湿潤面用無溶剤エポキシプライマーを塗布する
濡れたコンクリートに普通の樹脂を塗ったら剥れます。
そういう状況では、湿潤面接着型のプライマーを塗布する必要があります。
(私達は、この目的にはエポキシ樹脂を使っていますので、以下、それに沿って説明します。)
(私達は、この目的にはエポキシ樹脂を使っていますので、以下、それに沿って説明します。)
4、湿潤面用無溶剤エポキシパテで凸凹を埋める
続けて、湿潤面接着型のエポキシパテを、コテやゴムベラなどを使って、丁寧に 凸凹の隙間に詰め込みます。
(あちこちで行われている)スプレーで吹き付けて“一丁上り”・・というやり方では、トラブルが多発します。 なぜか?・・・理由は考えてみて下さい。)
(あちこちで行われている)スプレーで吹き付けて“一丁上り”・・というやり方では、トラブルが多発します。 なぜか?・・・理由は考えてみて下さい。)
↓
5mm~10mm位の厚みになります
↑
↑
この様にして、露出したグリ石をパテで“きちんと”埋めると、相当の厚み(5mm位)になり、それだけで強大な 環境遮断性がもたらされますから、大抵の場合、その時点で、必要な防蝕性能はクリアーされています。 つまり実用上は、このままで使用できます。
5、最終的な防蝕層を被覆する
パテを侵すような薬液に晒される場合は、以上の工程をすべて “下地調整”と考えて、その薬液に耐えられる材料を、改めて、この上に被覆します。
(“パテだけで十分”と思われても、“念のため” 防蝕膜を被せるという考え方もあります。)
(“パテだけで十分”と思われても、“念のため” 防蝕膜を被せるという考え方もあります。)
最終的な防蝕膜もエポキシ樹脂である場合は、上記のエポキシパテを施工した上に(パテの硬化を待たずに)防蝕層を連続施工できるので工期を短縮出来ます。
(また、それによって、層間接着力も高まります。)
(また、それによって、層間接着力も高まります。)
なを、現場が結露しやすい湿潤環境である場合は、すべての材料を“水中硬化型”にしておけば、硬化不良や接着不良等のトラブルの発生確率を減らせます。
【注意事項】]
★劣化して 強度が落ちたコンクリートには、過剰な界面応力をかけない配慮が要ります。
それを“平坦に戻す”ことにこだわらない方がベターです。
【参考】 弊社の仕様例(1)
①(湿潤面用 無溶剤エポキシプライマー)ファンデーション#349W
②湿潤面用エポキシパテ(通常はこれだけで、防蝕性能は十分です)
③(水中硬化型 エポキシライニング材)SSJ100WのFRPライニング
④(水中硬化型エポキシライニング材)SSJ100Wトップコート
②湿潤面用エポキシパテ(通常はこれだけで、防蝕性能は十分です)
③(水中硬化型 エポキシライニング材)SSJ100WのFRPライニング
④(水中硬化型エポキシライニング材)SSJ100Wトップコート
仕様例(2)
樹脂ライニング以外に、、セメントモルタルライニングで仕上げるやり方もあります。
セメント系材料は、熱膨張率が、コンクリートとあまり変わらないので、大きな温度変化に晒されても、厚塗りしても、“界面ストレスが大きくならない”という長所があります。
セメント系材料は、熱膨張率が、コンクリートとあまり変わらないので、大きな温度変化に晒されても、厚塗りしても、“界面ストレスが大きくならない”という長所があります。
(通常のセメントモルタルは、必要な作業性を確保出来る程度に加水すると、透水性になりますし、原則的に、打継接着剤が必要ですが、それらの問題点を解決した物もあります。)
●KKソテックの耐蝕性セメントモルタル
湿潤面に、耐蝕性セメントモルタルを塗布しているところ。
この耐蝕セメントモルタルは、湿潤コンクリートへも(打継接着剤なしで)強固に接着し、
(普通のセメントモルタルと違って、)不透水性ですから、完全な防蝕被覆になります。
(普通のセメントモルタルと違って、)不透水性ですから、完全な防蝕被覆になります。