防蝕以外の色々な目的
どんな防蝕ライニング仕様にも、(意識するしない、好む好まざるに関らず、色々な、)防蝕以外の能機が付帯します。
時と場合によっては、その付帯機能がライニングの主目的になります。
例えば上図は浮き屋根型石油タンクの断面ですが、底板には多少水がたまるので、腐蝕します。
腐蝕量自体は、たいした事ないのですが、孔蝕といって、ピンポイントに集中する、タチの悪い腐蝕であり、それによって穴があけば、漏油事故になるので、安全のため、防蝕を行う必要があります。 しかし、孔蝕はタンクの内側だけではなく、 反対側つまり、底板の外側にも発生します。
腐蝕環境は外側の方が厳しいのに加え、その防蝕は、構造上、困難なため、、大半の漏油事故は、外側からの孔蝕によって発生します。
腐蝕量自体は、たいした事ないのですが、孔蝕といって、ピンポイントに集中する、タチの悪い腐蝕であり、それによって穴があけば、漏油事故になるので、安全のため、防蝕を行う必要があります。 しかし、孔蝕はタンクの内側だけではなく、 反対側つまり、底板の外側にも発生します。
腐蝕環境は外側の方が厳しいのに加え、その防蝕は、構造上、困難なため、、大半の漏油事故は、外側からの孔蝕によって発生します。
こういう場合、タンク内面側の防蝕仕様をFRP(強化プラスチック)ライニングにしておけば、外側から穴が開いても、漏油を防げます。
理由は(下図)を見て下さい。
理由は(下図)を見て下さい。
下図の様に孔蝕が貫通しても、FRPが第二の底板として働き、漏油を防ぐ(孔蝕で10mmΦもの貫通孔が空く例は先ず無いが、FRPに1mmの厚さがあれば、例え10Φの貫通孔が空いても高さ20mの油圧に耐える事が出来る。)
ただし、日本の消防法の建前では、FRPで石油タンクの穴を塞ぐのは違法行為です。(違法と明示されている訳ではありませんが、“鋼材と同等以上の材料で修理すること”というビミョーな表現は、そう解釈される可能性が大です。)
FRPライニングした後で腐蝕穴が開いた場合は・・それが見つからなかった(見つけなかった?)場合は・(結果的にFRPで修理した形になっていても)お咎めなしですが、もし穴を見つけた場合は、建前上はおそらく直ちに鋼鈑で修理しないといけません。
技術建前論というのは、得体の知れん代物です。
(なお、古くは鋼板パチ当て熔接が奨励されていましたが、これは熔接線近傍に局部腐蝕を誘発するという問題があるので、今は奨励されていません。)
FRPライニングした後で腐蝕穴が開いた場合は・・それが見つからなかった(見つけなかった?)場合は・(結果的にFRPで修理した形になっていても)お咎めなしですが、もし穴を見つけた場合は、建前上はおそらく直ちに鋼鈑で修理しないといけません。
技術建前論というのは、得体の知れん代物です。
(なお、古くは鋼板パチ当て熔接が奨励されていましたが、これは熔接線近傍に局部腐蝕を誘発するという問題があるので、今は奨励されていません。)
この底板をもし、FRPでなく、普通の塗装で防蝕していたら・・・外側から腐蝕貫通孔が開いた場合は、当然、油の圧力によって塗膜が破れて漏油します。
余得・・防蝕膜がFRPなら、高圧洗浄をかけても、ワイヤブラシでこすっても、スコップを落としてもビクともしませんので、定期清掃も、膜を傷めないよう、恐る恐る行う必要は無く、能率的です。
防蝕以外の利点・・(これは他の仕様でも共通ですが、)表面を、白色に仕上げておけば、天井マンホールを開けるだけで、照明なしでも、中を歩けるほど明るくなり、表面も平滑になるので、内部清掃や点検が非常に楽になります。)
【付帯機能を利用する設計例をもう一つ紹介します。】
近年のメッキ工場はメッキ槽と自動化の機械が密集しているため、床の耐酸ライニングの修理はおろか、点検すら出来ません。
しかも都会ではビルの2階3階に設備が設置されている事も普通です。
そんな状況で、もし床の耐酸被覆が破れてコンクリートが腐蝕したら・・非常に危険ですが、それは十分に有り得る事態です。
しかも都会ではビルの2階3階に設備が設置されている事も普通です。
そんな状況で、もし床の耐酸被覆が破れてコンクリートが腐蝕したら・・非常に危険ですが、それは十分に有り得る事態です。
さてそういう状況設定で、どういう防蝕設計をするか?
結論を先に言えば、私達はこういう状況は、基本的にFRPライニングで設計します。
耐蝕性や環境遮断性だけ見れば、レジンモルタルでもフレークライニングでも、樹脂ペーストライニングでも構いませんが、このケースでは、FRPでなければならない理由があるからです。
理由を説明する前に問題を一つ。
説明
FRPライニングにひびがはいれば、その隙間から塩酸が浸入し、コンクリートはとけます。
しかし、コンクリートは自身が腐蝕することによって酸を中和して、無害な物質に変えてしまい、それ以外の部分を保護するという防蝕機能をもっていますので、酸が入ってきても、それが供給され続けないかぎり、それ以上の腐蝕は起りません。
はたして塩酸は供給され続けるのか?
もしFRPのクラックの近くにたまたまコンクリートのクラックがあり、そこから液が外に滲み出る場合は、その通路も腐蝕され、ひびの幅が拡がり、さらに流量が増えてさらに腐蝕で孔が拡がり、さらに・・・という展開で、運が悪いケースになります。
FRPライニングにひびがはいれば、その隙間から塩酸が浸入し、コンクリートはとけます。
しかし、コンクリートは自身が腐蝕することによって酸を中和して、無害な物質に変えてしまい、それ以外の部分を保護するという防蝕機能をもっていますので、酸が入ってきても、それが供給され続けないかぎり、それ以上の腐蝕は起りません。
はたして塩酸は供給され続けるのか?
もしFRPのクラックの近くにたまたまコンクリートのクラックがあり、そこから液が外に滲み出る場合は、その通路も腐蝕され、ひびの幅が拡がり、さらに流量が増えてさらに腐蝕で孔が拡がり、さらに・・・という展開で、運が悪いケースになります。
一方、例え入り口があっても出口が無ければ、酸は浸入し続ける事は出来ません。
だから、その状態でいる限り、腐蝕は殆んど進行しません。
(勿論これは入り口が狭いから成立するメカニズムです。もし10cm角でもFRPを切り取ってしまったら、ヒサンな結果になる事は火を見るより明らかです。)
だから、その状態でいる限り、腐蝕は殆んど進行しません。
(勿論これは入り口が狭いから成立するメカニズムです。もし10cm角でもFRPを切り取ってしまったら、ヒサンな結果になる事は火を見るより明らかです。)
【仕様がFRPでなければならない理由】
さて話を戻します。メッキのラインが稼動すると、床に色々な薬液がこぼれますが、その状態で、もし、防蝕膜が破損したら、防蝕膜の下に酸が浸透し、コンクリートが溶けて接着破壊が起り、膜が浮き上がります。
それによって大抵、膜にクラックが入りますが、そのとき、「例えひびが入っても、バラバラにならずにそのままの形状を保つ」という機能があれば、長くそのまま放置されても、上記クイズのメカニズムによって、腐蝕の被害は微少に止まります。
先に例示した防蝕膜の中ではFRPだけがこの機能を備えています。
それによって大抵、膜にクラックが入りますが、そのとき、「例えひびが入っても、バラバラにならずにそのままの形状を保つ」という機能があれば、長くそのまま放置されても、上記クイズのメカニズムによって、腐蝕の被害は微少に止まります。
先に例示した防蝕膜の中ではFRPだけがこの機能を備えています。
これが私達がFRPを選ぶ理由です。
【参考】
その他ライニング膜にもたせられる付帯機能には、次のようなものがあります。
防汚(汚れにくさ、乾きやすさ、洗いやすさ・・・)
防水、止水
防塵(コンクリート等のホコリ発生阻止)
潤滑(滑りやすさ)・・・パイプライン内面ライニングでは流体抵抗が小さくなるので、流量増加や、ポンプ電力の削減が、出来る。
コンタミネーション阻止(鉄やコンクリートのタンクから、金属イオン等が製品に混ざり込むのを、防ぐ)
摩滅防止(鉄やコンクリート等が、摩滅するのを防ぐ)
美装デザインとしてのライニング
防音・遮音・断熱・光反射・光吸収・導電・帯電防止・電気絶縁・放射線遮蔽・衝撃吸収・穴塞ぎ・補強・隙間埋め・その他いろいろです。
防塵(コンクリート等のホコリ発生阻止)
潤滑(滑りやすさ)・・・パイプライン内面ライニングでは流体抵抗が小さくなるので、流量増加や、ポンプ電力の削減が、出来る。
コンタミネーション阻止(鉄やコンクリートのタンクから、金属イオン等が製品に混ざり込むのを、防ぐ)
摩滅防止(鉄やコンクリート等が、摩滅するのを防ぐ)
美装デザインとしてのライニング
防音・遮音・断熱・光反射・光吸収・導電・帯電防止・電気絶縁・放射線遮蔽・衝撃吸収・穴塞ぎ・補強・隙間埋め・その他いろいろです。
結論
どんな防蝕ライニングでも、(耐蝕性・環境遮断性・接着安定性という)防蝕機能だけを持っているのではありません。
(防蝕設計に際しては、それらは基本要素として考慮されますが、それはイロハの“イ”であり、他の様々な付帯機能を勘案してはじめて現実の状況に即したチャンとした仕様が出来ます。)