全面防水二つの方法
全面防水の二つのやり方
全面防水は基本的に、シート防水か塗布防水のどちらかで行います。
シート防水というのは文字通り防水シートを被せる工法であり、屋根瓦も広い意味でシート防水の一種です。
瓦の場合は、形状を工夫したシート(瓦)を規則的にならべて、雨がその上を流れ落ちるようにして、漏水を防ぐメカニズムなので、屋根に勾配を付けることが不可欠です。
勾配が無い屋根に用いる場合は、シート(瓦)の隙間から水が浸入しないよう、シート同士をつないで一体化させる事が不可欠です。
そして、一体化した膜を下地と完全に全面接着させる方式と、膜と下地の間に空隙が出来るる、(或いはわざと空隙を作る)方式があります。
その事によって、後述のような機能の違いが生じます。
瓦の場合は、形状を工夫したシート(瓦)を規則的にならべて、雨がその上を流れ落ちるようにして、漏水を防ぐメカニズムなので、屋根に勾配を付けることが不可欠です。
勾配が無い屋根に用いる場合は、シート(瓦)の隙間から水が浸入しないよう、シート同士をつないで一体化させる事が不可欠です。
そして、一体化した膜を下地と完全に全面接着させる方式と、膜と下地の間に空隙が出来るる、(或いはわざと空隙を作る)方式があります。
その事によって、後述のような機能の違いが生じます。
塗布防水というのは、液状あるいはパテ状の防水材を塗布し、硬化させて防水膜にする方法です。(特殊な形として、硬化させない方式もあります。あるいは塗布した材料が下地に沁み込んで下地表面を緻密化し、それによって透水を防ぐという形式もあります。)
何にせよ、塗布防水における防水層は、原則的に下地と完全に接着して一体化します。
何にせよ、塗布防水における防水層は、原則的に下地と完全に接着して一体化します。
先ず、接着型と非接着型は何が違うのかを説明します。
・接着型仕様
接着型仕様というのは防水膜が下地に全面接着している仕様のことで、例えば弾性ウレタン防水、FRP防水のような塗布型防水がその代表です。
下地と防水膜は接着していて、一体化していますので
・膜が薄くても破損しにくいのが特徴です。(防蝕のお勉強1:カミさん効果参照)
・防水膜が部分的に破損しても、破損部と漏水点が重ならない限り漏水は起こりません。
・下地と接着しているため、下地が割れたら一緒に割れます。
(ただし、割れないようにするやり方もあります。・・・クラックに対応した防蝕ライニング参照)
(ただし、割れないようにするやり方もあります。・・・クラックに対応した防蝕ライニング参照)
下地と一緒に割れるのは短所ですが、それはまた一面、そういう破損箇所を防水の上から 簡単に“見つけられる”という長所でもあります。
(つまり、修理すべき場所を発見しやすいという長所です。)
(つまり、修理すべき場所を発見しやすいという長所です。)
*膜破損部は↓目視で分かる。↓*↓膜破損しても必ずしも漏水しない。*↓カミさん効果が働くので、破損しにくい。
新規クラック (防水膜も一緒に割れる) 漏水点は入り口で封止されるので、(下地と、膜の破損部の位置が重なった時は漏水する。) 下地にクラックがあっても漏水しない。
接着仕様の断面図
・ルース(非接着)仕様
これは、下地と点接着させる仕様です。
例えばシート防水でシートをアンカー止めするような工法であり、模式的に示すと図のようなものです。
*下地が↓割れても膜はダメージを受けない。 ↓*どこで膜破損しても水は漏水点にまわる。
(*膜は頑丈でないと容易に破損する)
(*膜は頑丈でないと容易に破損する)
新規クラック 漏水点(ここから漏水する)
ルース仕様の断面図
このように接着仕様とルース仕様では、機能や修理の仕方、修理すべき所をさがす難易度が違います。
(但し、コストをかければ、ルースと同じクラック追随性を有する接着施工は出来ます。)
コストがらみの判断は、いつでも悩ましいものですが・・・
私見を言えば、“水が漏れたら直ちに重大な損害が発生する”という場合を除き、“程ほどのところで手を打ち、絶対的な信頼性を求めない・・・”というのが、一番コストパフォーマンスが高いやり方です。
壊れたら修理すれば良い。・・という考え方です。
絶対を求めれば、求めるほど、加速度的にコストがかさみ、安直にやればやるほど、後で多大なメンテナンスコストを発生させるものですから、程々の程度にすることは大切です。・・・といっても悩ましいことに変わりはありませんが・・)
壊れたら修理すれば良い。・・という考え方です。
絶対を求めれば、求めるほど、加速度的にコストがかさみ、安直にやればやるほど、後で多大なメンテナンスコストを発生させるものですから、程々の程度にすることは大切です。・・・といっても悩ましいことに変わりはありませんが・・)
余談ですが・・・隠れルース仕様?
コンクリートでできた屋上に仕上げモルタルを施し、その上に接着型防水を行うと下図の断面構造になります。
↓
←接着防水
←仕上げモルタル
←打継面が透水性になる ことが多い
←ベースコンクリート
←接着防水
←仕上げモルタル
←打継面が透水性になる ことが多い
←ベースコンクリート
漏水点
ベースコンクリートと仕上げモルタルが剥れていると、その隙間を水が自由に動きます。
そうなると、これは全体として、ベースコンクリートの上に、“防水膜と仕上げモルタルが一体になった防水層”をのせたルース型防水という様相になり、本来のルース型と同じように、例えば↓印のところから浸入した水は漏水点に廻ります。
そうなると、これは全体として、ベースコンクリートの上に、“防水膜と仕上げモルタルが一体になった防水層”をのせたルース型防水という様相になり、本来のルース型と同じように、例えば↓印のところから浸入した水は漏水点に廻ります。
打設したコンクリートの上に仕上げモルタルを施工してあるときは、このパターンがあり得ますので、注意してください。
塗布防水とシート防水の違い
●塗布防水
●塗布防水
ウレタンや不飽和ポリエステルやエポキシなどの液状の防水材を塗って固めて防水層にするのが塗布防水です。 通常は接着型仕様にします。
塗布防水の長所は全体をシームレスで一体化できるということです。
短所は膜厚が不均一になりやすいことです。
(不織布や織布に含浸させる工法にすれば、改善できます。)
(不織布や織布に含浸させる工法にすれば、改善できます。)
配合ミスをすると、物性も不均一になります。
膜作りを全て施工現場にゆだねている以上、いいも悪いも、現場の職人の腕が仕上がりを左右するのは致し方ないところです。
やり方は防蝕ライニングとまったく同じですから“プロローグ”以下を参照にしてください。
やり方は防蝕ライニングとまったく同じですから“プロローグ”以下を参照にしてください。
●シート防水
ゴム、塩ビ、アスファルト、ポリオレフィン、その他いろいろな材質の防水用シートを貼り付けていく工法です。
・シートを下地と完全に全面接着するか、あるいは非接着部を残すかで前述のような(ルースと接着の)機能の違いが生じます。
・シート同士は、熱融着か接着でつなぎますが、どちらにしてもきちんと融着や接着ができているかどうかは“壊してみないと分からない”という問題があります。
もし、欠陥場所を見つけられなければ“部分修理”は不可能です。
ルース型シート防水で漏水した場合、大抵“全面やり直し”、あるいは、“全面に新規の膜をかぶせる”のどちらかにならざるを得ないのは、“直す箇所を見つけられない”という本質的欠点があるからです。
(塗布防水派が“シームレス”と”全面接着”をセールスポイントにしているのは、シート防水のそういう弱点を踏まえてのことであり、逆にシート防水派が”耐クラック性”を強調するのは、接着工法の弱点を踏まえてのことです。 しかし本当は状況に応じて使い分けるべきです。)
・構造の複雑なものにシートを貼るのは容易ではありません。
従って、施工のトラブルもそういう箇所で多発する傾向があります。
(出隅、入隅、ドレン廻り、役物廻り等のため、シートメーカーは様々な成型アタッチメントを売っていますが、もし、樹脂ライニング技術をもっているなら、そういう箇所はライニングを併用する方が安全で確実です。 シート防水の修理に塗布防水を用いる事も出来ます。
シート防水であれ、塗布防水であれ、「全面をそれで統一しなければならない」理由はありません。両方出来る技術を持っているなら、組み合わせる方が合理的です。)